東京オリンピック開幕に際して
オリンピックについて思ったことを書きました。
date: 2021-07-23
2006 年、 トリノ五輪の悔しさがまだ記憶に新しい頃、 日本で五輪が見られるチャンスがある事を知った。
福岡招致。
だがその年の夏にとんでもない事が起きた。飲酒運転追突死亡事故である。
厳罰化の契機となったこの事故で逮捕されたのは、 あろうことか福岡市の職員であった。結果的にこの事故は福岡五輪のムードが一気に萎ませるものとなった。
福岡市が目指した 2016 年夏季五輪、 これは東の暴走老人が率いる首都が立候補したものの結局リオに敗れた。
しかし時の暴走老人と、 その周りの者共は懲りずに、 その 4 年後 ・ 2020 年夏季五輪に焦点を合わせる。
自分の周りでは、 「まあ出来たら良いね、 何かやりたいね」、 という消極的だが少しはポジティブな意見が目立った。それは 「叶いっこない夢物語」 という目線でもある。
今一つ世論が盛り上がりに欠ける中、 巨大地震と大津波が発生した。この大津波で相も変わらず暴言を放った暴走老人は、 その復興を題目に夏季五輪立候補を改めて宣言した。
この国を元気づけるための五輪、 再びの栄光を求めての五輪。ただ災禍の一月後で 「今、 そんな場合か?」 という空気はあった。
その年、 なでしこ JAPAN がワールドカップで優勝。東京マラソンの成熟し、 更には 2012 年ロンドン五輪での興奮。
暴走老人は情動を汲み取るのが上手い。機を見るに敏、 メダリストの凱旋パレードをぶち上げると、 一気に東京五輪へのムードを高めた。
これは本当に見事だった。そこで、 上手いこと都知事を辞めた事も。
だが水を差したのがその後継者である。2013 年春、 彼は米誌の取材に対しライバル都市を揶揄する舌禍事件を起こす。
ここで私は 「あっ無理だ」 と悟ると、 マドリー派へと鞍替えを果たす。
更に今では、 どうやらこの時期に高貴な方が賄賂を渡したと囁かれている。
この傷が、 全てを狂わせた。
「東京都内で完結する」 「アンダーコントロール」 「おもてなし」
セレモニーを彩る美辞麗句に、 違和感を覚えた人は多いだろう。
「TOKYO」
東京五輪で一番盛り上がったシーン。
私は驚いたのは、 それから間もなくであった。
「都内で完結する」 と言われていた会場が、 各地に広がっていた。
予選が各都市で行われる、 はて 「コンパクトな大会」 とは。
それから起きたすったもんだは、 最早説明するまでもないだろう。
「改修」 する筈の国立競技場は、 いつしか建て替えると相成り、 一つ目の案は肥大化を問われやり直し。そうして出来上がった新国立競技場は、 何をするにも足らない、 こ中途半端なスタジアムとなる。
それも当初案を遙かに上回る費用、 サッカーは見にくい、 陸上大会も十二分に開催出来ぬというオマケ付き。
このオマケにより、 栄光のレガシーとなるはずの競技場は、 満足に賄うことが出来ぬ赤字垂れ流しの負のレガシー ・ スタジアムに。
傷は、 いつしか国家を揺るがす腫瘍と化した。
これから始まる祭典の行く末はまだ誰も知らない。
次に私が東京を訪れたとき、 一体どんな東京になっているのだろうか。
未来とは。